ジーンズが似合うためには「骨盤」が重要!
「だろう?俺がこのエビだけは食べられるって言ったのが、分かるだろう?」
「『このエビだけは』なんて、こんな美味しいエビなら誰だって食べるわよ!」
笑いながらカミさんが答えた。
「そっかあ?そんなに旨いか?」
「本当に美味しい!さっきの掻揚も美味しかったけど、これはまた違った美味しさね!」
「でも、お前にこの白エビを食べさせることが出来て、本当に良かったよ。」
「うん、ありがとうね!」
カミさんの嬉しそうな顔を見て、オイラも本当に嬉しくなった。
「でも、この白エビを食べながらだと、お酒が進みそうね。そうなると日本酒はちょっと危険かな?」
とカミさんがからかい気味においらとお調子を見ながら言った。
「大丈夫大丈夫!あとはホテルに戻って寝るだけだから!」
「本当に大丈夫?ホテルまでちゃんと戻れる?私、あなたのことは背負えないわよ。」
「大丈夫!まだ酔ってないだろう?」
「そうねえ、確かにまだ眠そうな目もしてないし・・・。でも、飲み過ぎちゃダメよ!」
「はいはい。いずれにしても電車の時間もあるし、あと1本飲んだら帰ろうか?」
「エッ?もうそんな時間?」
「最初の予定で、10時くらいにはホテルに戻ろうって言ってたでしょ?そうするとあと発車まで40分ぐらいだよ。」
オイラにそう言われて、カミさんがオイラの腕時計を覗き込んだ。
「本当だ!じゃ、私ももう1杯、飲もうかな?」
「お前こそ大丈夫か?普段、1杯しか飲まないのに。」
「平気平気!それに私には、あなたという強い味方がいるから!」
そう言われてしまうと、オイラとしても酔っ払う訳にはいかない。
その辺が、カミさんの上手いところである。
が、せっかく久し振りに『銀盤』と『白エビ』にありつけたのだから、時間いっぱいまで堪能したい。
「すみませーん!銀盤をもう1本!それと・・・。」
「私は、もう1杯レモンサワーを!」
「はい、銀盤とレモンサワーね!」
女将さんらしき女性が、大きな声で注文を受けてくれた。
この中では、当初から『女将さんらしき』と書いているのだが、実はこの女性、オイラが以前この店に来ていた頃から働いている女性である。
オイラの想像では、大将の奥様だとは思うのだが、所詮、月に1回程度しか来ない出張族だったオイラは、「奥様ですか?」と大将に聞く勇気もなく、未だに本当のところは良く分からない。
そんな訳で、敢えて『女将さんらしき』と書かせてもらっている。
注文をしてから1、2分で飲み物がやってきた。
「はい、お待ちどう!」
「すみません。」
カミさんとオイラの最後の役目は、出してもらった食べ物を残さず食べることだが、大将との会話と、白エビの美味しさで、一度満たされたお腹が動き出して、消化を早めたようだ。
先程までは、「もう食べられない。」と思っていたのだが、スムーズにお腹に入るようになった。
美味しいものを食べている楽しい時間というのは、本当に早く進んでしまう。
あっという間に電車の時間が近付いてきた。
その頃には、カミさんもオイラも、食べ物を殆ど片付けて、飲み物を残すのみになっていた。
オイラが最後の1杯を、グラスから飲み干すと、カミさんが待っていました、とばかりに、「ねえ、まだ飲める?」と期待を込めた目つきで聞いてきた。
「大丈夫だよ。」
そう言って、オイラは半分ほど残っていたレモンサワーを、カミさんから受け取り、二口ほどで飲み干した。
「さ、行くか?」
「そうね。電車が来ちゃうもんね。」
本当は、朝までゆっくり飲みたい気分だったが、全日空ホテルの部屋も楽しみたい。
そんな思いで、会計をし、店を後にした。
店を出る時に、大将が、「また是非来て下さいね!」と社交辞令ではなく本音のように言ってくれたのが嬉しかった。
店を出ると、やはり都会とは違い涼しげな風が吹いていた。
9月とは言え、まだ横浜では夜も暑いのだが、こちらはすっかり秋の気配が訪れつつあるようだ。
ゆっくりカミさんと駅まで歩きながら、二人とも満足気な表情で、さっき食べたばかりの料理の美味しさについて話した。
「結構、食べたよね。今になってお腹がいっぱいになってきた。」
というカミさんのひと言で、オイラも満腹であることに気付いた。
「確かに!もうあとは、ホテルに戻って寝るだけだな!」
この時は、二人とも間違いなく、そう思っていた。
駅に着いて切符を買い、電車が入ってくるホームに向かった。
5分ほどで電車が到着したのだが、乗っているお客さんは少なく、帰りは二人とも座ることが出来た。
「富山まで何分ぐらいだっけ?」
「30分くらいだと思うぞ。」
カミさんの質問に答えると、カミさんが不安そうな目でオイラを見た。
きっと二人とも心地よい気分なので、寝てしまうことを恐れているのだろう。
オイラも正直、30分間起きていられるという自信はない。
「眠くならない?」
というカミさんの問いに対しても、大丈夫、とは言い難い。
「何とか30分、起きていられるように頑張ろう。」
そう言うのがやっとであった。
「ちなみに、今日は何が一番楽しかった?」
今から考えると、この問いかけが寝過ごさずにすんだ最大の理由だったと思う。
「そうねえ、何と言っても飛行機に乗ったことかな?本当に久し振りだったもん。」
「確かに、離陸の時、子供みたいにはしゃいでいたよな!」
「だってえ、本当にワクワクしちゃったんだもん。」
「じゃ、今度はもう少し長い時間、乗っていられるような所に行こうか?」
「長くなくていいの!離陸の時が一番楽しいんだから!」
「本当に子供みたいだねえ。」
こんな話題から始まり、きときと寿司やホテルにチェックインした時の部屋の豪華さに感動したこと、そして何と言っても『白エビ』の美味しさに驚いたことなどを話しているうちに、富山駅に到着してしまった。
「意外とあっという間だったわね!」
「寝過ごさなくて良かったな。」
「ホテルまで、どうやって帰る?また路面電車?」
「結構気持ちいいから、歩いて帰ろうか?多分、20分くらいだと思うよ。」
ということで、歩いて帰ることにした。
「何か買って帰るか?」
カミさんに尋ねると、カミさんが不思議そうな顔をして答えた。
「お腹いっぱいじゃないの?」
「お腹はいっぱいなんだけど、もう少し飲みたいなって思ってね。」
「そっか。じゃ、私も何か飲み物を買って帰ろうかな?」
とカミさんも賛成してくれた。
歩き出してしばらくすると、コンビニを見付けた。酒もタバコも置いてあるようだ。
オイラ達は、そこで買い物をすることにした。
(次回に続く)
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